登校中。
少し前までは必ずと言って良いほどあの女の子が隣に居たけれど、居ない時間にも慣れてきてしまっていた。

……あれは夢だったのだろうか。
早栗が独りで泣いていたっけ。こちらが声を掛けても手を差し出しても、気付く様子は無かった。
所詮は夢であると気にしないのが一番なのだろうが……何せ悪魔の召喚の儀式の後だ、気になるのもしょうがない。


「……………」


空を仰ぐ。晴れてはいるものの、雲が無いわけではない。自分の身の回りに何かしら変化した様子もない。
何だ、結局あのサイトに書かれていた事はそこら中に溢れている面白おかしいネタでしかなかったわけか。


「……………(ハァ」


これで早栗に関する手掛かりも無くなった。
本気で探そうとして、あんな珍妙なサイトに縋ったのが間違いなんだ。昨晩の自分はどうかしていたのだと思う。


「……………」


覚悟はしていたが、結局は無駄骨か。
可愛い女の子が出てくる夢も彼女が出来る儀式も、何もかもおしまいというわけだ。
くそ、俺の明るい未来が砕け散っていく。ちくしょう、ちくしょう………!!
その日の朝に俺は男泣きをした。


「……………」


そして会話の無い登校は気分が上がらない。空が晴れていようと、一時限目が体育であろうと、今日の給食が揚げパンであろうと。


???「おはよー!」


今日は俺の一世一代の夢の数々が潰えてしまった日、暗くなってしまうのは当然というものだろう。


???「……お・は・よー!!」


こうなったら最終兵器に手を出すしかない。今日の帰りにゲオで禁断のえっちぃゲームに手を出して―――


???「こらーーーーっ!!」

「……………!?(ビクッ」


朝っぱらから耳元で叫ばれた。中々脳まで響く声だぜ。
反射的に顔をそちらに向けると、そこには―――










早栗「あはは、ようやく反応してくれたね。おはよ」


何だ早栗か。
邪魔をしてくれるな、俺は今大人の階段を2段飛ばしで登ろうとしているのだ。
いくら早栗と言えども立ち塞がるなら成敗して―――


「……………!!?」

早栗「どうしたの?私の顔に何か付いてる?」


…………ゑ?
☆儀式の翌日1-2