いつも通りの日常。
彼女と一緒に登校して、眠たくなる授業が過ぎていって、そして放課後になって。
いつも通りだ。

……いや、正確に言うならばいつも通り"だった"日常かな。


早栗「あはは、それでね───」


残っているクラスメイトらと話す、そこには居ないはずの彼女を見やる。


「……………」


おかしい。
彼女は───早栗は行方不明になっていたはずだ。


早栗「昨日の夜、お母さんが───」


不可解な部分はそれだけじゃない。
亡くなっているはずなのに、早栗の口から出るお母さんや妹がどうしたこうした、という言葉。
早栗が当たり前のように居る事に何の反応も示さないクラスメイトや教師達。
携帯で調べても一切ヒットしない那廻家消失事件の記事。
……何かが変だ。


早栗「うん、また明日!」


話に区切りを付け、彼女がこちらへ駆け寄ってきた。
考え事ばかりで少し睨むような視線を送ってしまったが、幸い彼女は気が付かなかったようだ。


早栗「お待たせ。一緒に帰ろ」


クラスメイト達の茶化す声が聞こえてくる。お決まりのリア充は爆発しろだの、そろそろチュー位はしとけよだの、末永くお幸せにだの。


早栗「べ、別にそんなんじゃ……!」


慌てている彼女と笑い合うクラスメイト達。いつもならばその輪の中に混ざり、共に早栗をからかっているところだが───


「……………」


考え込んでいる自分は、ただただ無言で居るだけだった


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☆儀式の翌日2