マクドナルドから出る頃、既に外に明るさは無くなっていた。空には月、帰路には仕事を始めた街灯達、もう少し早く退店すべきだったかな。
「…………」
胡散臭さが尋常ではないものの、結局自分は悪魔の召喚を試してみる事にした。いや、正確に言うのなら、あのサイトに載っていた中で自分に出来そうなものをいくつかを試してみる事にした。
実行するものは以下の通り。
・悪魔の召喚
・翌日が雲一つ無い快晴になる儀式
・次に見る夢に可愛い女の子が出てくる
・過去に戻る
・彼女が出来る(←最重要)
・将来幸せになれる
「…………(ニヤリ」
我ながら完璧だ。笑みすら零れてしまう。
彼女が出来たらどうしよう、膝枕でもしてもらおうかな。休日一緒に出掛けたりなんかしちゃったりして……ゲヘヘ。
「…………」
ふと自分は深い虚無感に襲われた。こんな事ばかり考えているから、隣に座った女の子が自分の事ばかり見ていると思ってしまうんだ。
「…………」
マクドナルドにて、自分の隣に座った女の子。
思い違いかもしれないが、彼女がやたらと自分の方へと視線を向けてきた。すぐ隣で向けられる視線に気が付かない自分ではないが、あの視線の意味は何だったのだろう。
頬にケチャップが付いていたわけでもないし……まさか自分に惚れたか?いやー参ったね。
「…………」
虚無感。
23時20分、自室にて悪魔の召喚に必要な魔法陣の複写が完成。丁寧に描けた方だろう。
その他全ての儀式の準備が整い、時間も迫ってきた。あまり信じてはいないものの、心臓の鼓動が少しずつ早くなっていく。
「…………」
最後にもう一度、手順を確認しておこう。
携帯を開く。
インターネットへ接続。
【悪魔、早栗】とキーワードを打つ。
例のサイトへ接続。
手順を確認する、問題はない。
「…………」
あれ?
「…………」
このサイト――――
「……………?」
何故【早栗】という文字がサイト内部に一切無いのにヒット、しかも検索結果のトップに出てきたのだろう。
【悪魔】というキーワードだけで弾き出された?
「…………」
まあ深い事は考えなくて良いか。
そうこうしている内に23時30分、時間だ。魔法陣を枕の下に入れる。
「…………」
さて、どうなる事やら。
☆儀式を実行する