23時40分、床に就く。
「召喚を実行」
魔法陣を枕の下に仕込んでから10分後、自分は手順通り布団へと潜り込み、一文字一文字はっきりと発声した。
同時に多少の浮遊感が襲うとの事だが……確かに感じたと言えば感じたかもしれないが、感じなかったと言えばそれも間違いではない。
要するに、浮遊感がとても微弱だったのだ。ただの気分の高まりから錯覚してしまっただけかもしれないし、または―――。
「…………」
まあいい。明日になればわかる事。
「召喚を実行」
更にそれから10分後の23時50分。再びはっきりとした発声でキーワードを口ずさむ。あとは0時になる前に眠れば良いのだが―――。
「…………!」
まずい、俺の黄金水が溢れて来やがった!くそ、鎮まれ俺の股間……!!
「…………」
ふぅ、何とか治まったか。全く寝る前にバンホーテンココアがぶ飲みするんじゃなかったぜ。
「…………」
そういえば、0時までに眠れなければリスクが伴う、と書いてあったっけ。あまり気にはしていなかったものの、リスクとは何なのだろう?
儀式を実行する事だけに夢中になっていた為忘れていたが、いざ実行するとなると気になって仕方がない。
「…………」
これは0時前に眠るのは無理そうだな。最高でも好きな子をクラスのみんなにバラす、位で勘弁してくれ!
あまり大きなリスクではない事を祈りつつ、自分は目を閉じる。若干の興奮を感じていた心も時間が経つと共に抑えられていき、数分後には何事も無かったかのように。
夢の世界に入った時刻は、0時5分。
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