あのニュースから一週間、一向に授業に集中出来ない。
あの日、報道された内容はこうだ。
・早栗の父が0時頃に30分程外出、戻ってきたら家が消えていた。
・家のあった場所が深く抉り取られていたが近隣の住民に被害は無く、静かな夜だったという。
「…………」
それだけならば原因不明の事故に那廻家が巻き込まれたと捉えていただろうが、この事件にはまだ続きがある。
あのニュースを見た数日後の夜、那廻家について新たな報道がされた。
・那廻家からおよそ300mにある公園で、辺り一面にばら撒かれた血と人間のような肉片を発見
・同日正午、同公園内の遊具の中に、四肢を切り取られ、顔面をそぎ落された30~40代女性と見られる遺体が発見された。
・前者が早栗の妹、後者が母と断定。
・那廻家跡地から早栗の血痕が付着した衣服が発見されるが、本人の行方は不明。
「…………」
ネット上では妹の遺体から母の唾液が検出された、両遺体から未知の物質が検出されたなどの噂があるが、信憑性は無い。
「…………」
妹の遺体から母の唾液が検出?まるで早栗の母が妹を喰らっていたかのようだ、気味が悪い。
……いや、所詮ネット上の噂。気にするほどでもないのか。
「…………」
考え込んでも考え込んでも、何一つ真相がわかるわけじゃない。授業に集中しなければ───そうわかってはいるのだが、参ったな。
暴力的に差し込んでくる太陽の光は、少しばかり暑過ぎる。
彼女の居ない帰り道は、何故か酷く寂しいものだった。
「……………」
依然、彼女の居た場所は空席のまま。
☆那廻家の消失2