姿。
形。
声。
見せる仕草の一つ一つ。
「…………///」
上着を差し出す君は、恥ずかしそうに私から目を背けていた。本来なら私は胸なり局部なり隠すのが普通なのだろうけど、そんな事さえどうでも良いと思えるほど、呆気に取られていたんだと思う。
早栗「うそ……」
一度君の姿をしっかりと認めると、その後は不思議と化け物かもしれないなどと疑いはしなかった。一度偽物のお母さんに騙されてるのに、変だよね。
魔法陣が描かれている部屋だから化け物は入って来れないとか、何から何まで同じだから偽物ではないだろうとか、深い事は一切考えずに―――君が本物だと確信したんだ。
早栗「きみ、なの……?」
「…………(コクリ」
無理矢理にでも理由を付けるとしたら……そうだね、私の心が言ってたからかな。
早栗「…………」
目の前に在るのは、私の大好きだったあの人だって。
早栗「ッ…………!!」
「……………!?」
気が付けば、突進する勢いで彼に飛び付いていた。
両の腕を二度と離さないと言うかのように、君の胴体へと絡み付ける。
顔面を君の胸へと押し付け、わんわんと子供のように枯れていた筈の涙を絞り出した。
君は始終困ったような顔をしていたっけ。涙を流す私になんて言葉を掛ければ良いんだろう、なんて思ってたのかな。
>>