早栗「あはは……ごめんね………」
「…………(フルフル」
落ち着いた私は彼から上着を受け取り、その温もりを十二分に感じながら身に纏った。
笑ったのなんていつ振りだろう。温かさを感じたのなんていつ振りだろう。
早栗「……ありがとう」
私が涙で君のシャツを濡らしてしまっても、君はただただ微笑むだけ。私の記憶の中にある大好きな表情は全く変わっていない。
ふふ、私はもう数え切れない位の時を過ごしたけれど、君の中ではそう長く経っていないのかな。
早栗「へへ……今だけは、許して」
もっと温かさを感じたい、君を感じたいんだ。
私は君に密着する。勿論大事な部分は隠して、ね。
「…………///」
恥ずかしいなんて感情も忘れていた。もう少し来てくれるのが遅かったら、私は私じゃなくなっていたかもしれない。
早栗「……大好きだよ」
こういう台詞がさらりと言えるようになったのは……まあ、良い変化という事で。
この悪魔の迷宮の中で……私は今、幸せだ。
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