一つ、わかった。
「…………」
自分が生きてこの迷宮を出られる可能性はとても低いという事だ。
ズル
初めの楽観的な感情は一切無く、今はただただ恐怖が全身を支配している。
一歩を出すのが怖い。一つ扉を開けるのでさえも、冷や汗が止まらない。
そう……アイツがいるような気がして。
濁った黄色い、最早服とは言えないようなモノを身に纏い、そのほとんどが返り血で紅く染まっているアイツ。
ズル
あの大きな斧で何人をヤってきたのだろう。まあ考えたくもないね。
「っ………!?」
考えてる暇があれば、自分は全速力で走る。そうしなければ、ものの数分で自分も―――
ズルズル
ほら、ヤツが来たぞ。
ルシフェルに遭遇する