夢、か……残酷だよね。
あのまま夢から覚めなければ良かったのに。
例え呼吸をしている死体と同じだとしても、私はそう望むと思う。
早栗「……もう一眠りしようかな」
誰に語り掛けるわけでもなく、ぽつりと独り言。
次に目を開いた時には、あの暖かかったベッドに身を預けていないかと淡い期待を込めて。
……今まで幾度も試した事だけど。全く下らない。
早栗「……………」
そういえばさ、前にこんな夢を見たんだ。
私が好きだった男の子……あ、友達としてじゃなくて異性としてね?
その子が迷い込んできて、この部屋に入って来るっていう都合の良い夢。
そう、ちょっと古典的な表現だけど、まるで―――
早栗「王子様、みたいだったな……」
「……………(ダレガ?」
早栗「それは……」
え?
早栗「…………ッ!?」
その時の私は、酷く間の抜けた顔をしていたと思う。
それと同時に、確か泣いちゃったっけ。昔から泣き虫だったから。
「ようやく見つけた」
頬を強く引っ張ってみた。
う~ん痛い。
早栗「うそ……」
本物の君。
今度は夢じゃない?
今度は消えない?
うん、夢じゃない。
消えたりしない。
安心して。
今度こそ、今度こそ本物の君だから。
早栗「…………!!」
ここからも夢と同じ。
私は思い切り、君に飛び付いた。
再会する