何処からか、声が聞こえた気がした。

こんな悪魔の迷宮の中だ、どうせ聞き間違いだろうけど。


それにしても……誰かの声に似ていた気が―――誰の声だっけ。
遠い昔の事だから覚えてないや。


早栗「……………」


ここに迷い込んでからどの位経ったのだろう。
百年?一億年?……いや、もしかしたら一年も経っていないのかも。
まあ、向こうの世界では1秒も経っていないのだろうが。

何度も元の世界に戻れる道はないかと探し回った。
何度も希望はないかと歩き回った。

どうせこれも気のせいだ。



……気のせいだろうけど


早栗「……なつかしいこえ」


どうしてだろう、この声の持ち主に会いたい。


早栗「…………」


話したい。

甘えたい

隣で笑っていたい。


早栗「…………ほんとにたすけてくれるの?」


無論、返事は聞こえてはこない。



だけど――――


早栗「…………」


何処かの世界に居る、その声の持ち主へ。
もう長い事待って疲れちゃった。


早栗「でも……」


―――でも、もう少しだけ待ってるから。

もう少しだけ諦めないから。

……だから、ちゃんと迎えに来て。



早栗「もうちょっとだけ……頑張ろ」



約束だよ?
必ず助ける!だから待っててくれ…、お前がいない世界なんて俺は認めない!