私は永い事、魔法陣のある部屋で蹲っている。


早栗「…………」


人間は誰も居ない。

リースも居ない。

化け物は居る。


早栗「…………」


発狂してしまえば楽なのだろうけど……何故か出来ない。
死んでしまえば楽なのだろうけど……やっぱり怖い。

私はこれからどうなるの?
宇宙の終わりが来るまでこのままなの?
出口は本当に無いの?

お父さん、本物のお母さん、妹、友達、先生、よく寄り道で行くカフェで知り合った店員、話した事も無いお隣さん、赤の他人。
誰でも良い。殴られても良い。この際なら強姦されたって良い。


だから――――



早栗「誰か……」



涙は出ない、枯れてしまったからね。
後悔はした、これからもし続けるのかな。


(キィ)


早栗「…………?」


ふとドアの開く音。顔を上げれば―――


「…………!」


大好きだったあの顔があった。
なんだ、偽者のお母さんに続いてまだ私を惑わせるのか。ほら、早く本性を見せなよ。残酷で凶悪な化け物としての姿を。


早栗「…………」


逃げようなんて気力は無く、全裸を見られて恥ずかしいなんて一切思いはしなかった。
何かしら思った事と言えば……そうだね、何故魔法陣があるのに入って来られるのかなって―――




早栗「……………」


「…………///」






あれ?
迷宮に迷い込む