叔父「実は今日からまたしばらく帰れなくなる、またお前に留守番任せる事になっちまうな。」
叔父は笑いながらも少し申し訳なさそうにそう言う。
別に悪い気はしない。鎌倉に来てこっち留守番が生活の基本スタイルのようなものだ、正直もう慣れてしまった。
叔父「しっかし驚いたぞ、まさかお前がこっちに来て真っ先に知り合ったのがあの綾弥の嬢ちゃんだとはな。」
一体どこから聞いた…
多分近所の主婦達か、井戸端会議の力というものは侮れないものだ。彼女達ならこの近辺で起こっている事は全て把握していてもおかしくはない。
叔父「今はもう亡くなっちまったんだが、あの家には元々一媛さんって婆様が住んでたんだ。俺もガキの頃はよく怒鳴られたもんだ、同時に世話になった人でもあるんだが。
まぁ俺がこんな事を言うのもなんなんだが…仲良くしてやってくれないか、見てくれからは想像出来んだろうがあの娘は筋金入りの不良娘でな…。多分友達もあまりいないと思うんだ。」
叔父は一条の事を心配しているようだ、やはり昔世話になった人の子供という事もあり放っておけない面もあるのだろう。
でも叔父さん…
実はもうかなり仲良いんだ…。
叔父「ああ勿論遊んだりする時はうちに呼んでも構わんからな。」
もう何回も呼んでるし…
叔父「だが連れ込んで妙な事はするなよ?この家から犯罪者を出したくないんだ。
と言ってもあの娘にはお前じゃ無理か。」
そんな事をすればどうなるか自分が一番よくわかっている…
恐らく病院で目を覚ます事になるだろう。
叔父「ともあれ家も隣同士なんだ、顔を会わせる事も多くなるだろうから仲良くしといて損はないだろ。」
確かに今よりもっと仲良くなれればいいが…
叔父「もうこんな時間か、俺はそろそろ行くから家の事は頼んだぞ。」
叔父は上着を着て玄関の方へ向かう。
叔父「そうだ、今日は確か…バレンタインデーとか言ったか。何でも女が気になってる男に菓子を渡す日なんだそうだ。
こっち来て女の知り合いが何人出来たかはわからんが、お前もいくつか貰えるといいな。」
それだけ言って叔父は出掛けていった。
何とも憂鬱になる言葉を残していったものだ…。
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