名前:綾弥一条

名前を間違えられた回数41回

悪くない

さて、家まで帰ってきた事だし早速もらったチョコをいただいてみる事にしよう。

今日は香奈枝さん、茶々丸と光、村正さん、娘さんからチョコを貰うことが出来た。
順に食べてみることにする。

まずは香奈枝さんのものから…


豪華、という言葉が一番似合うだろうか。
所々に細工があしらわれたその箱からも如何にこのチョコレートが高級なものであるかをうかがい知ることが出来る。

取り寄せた、と言っていたが現在の大和で個人輸入をしているとは…
輸送費含め一体いくらかかっているのか。

箱を開ける。

中には大小様々なチョコレートが綺麗に並べられている、一つ食べてみよう。

『もぐもぐ』

……美味しい。
日本製のチョコとは少し作り方が違うのか、とても上品な味だ。
よく見ると一つ一つ味が違う様なのでこれは長い間楽しめそうだ。大事に食べよう。


次は茶々丸と光のものを……
まだ異音が聞こえる…

と、とりあえず先に茶々丸の方を…

『もぐもぐ』

美味い!チョコとカステラのバランスがとてもマッチしている。双方がそれぞれの美味しさを邪魔し合っていない。
さすが文命堂、いつもいい仕事をしてくれる。
作られた経緯を想像すると何ともいたたまれなくなるがそれでも美味い。
一応生ものに当たるので早いうちに食べてしまおう。




・・・・・・・・さて、どうしたものか。

今目の前で異様な存在感を放つこの小さな箱…

机の上に置いて、初めて気付いたが

間違いない。

動いている。

「胎動している」と言ってもいいかも知れない。

この動きによって音が鳴っていたのか…

開けるのが怖い…しかし開けずに光を怒らせるのはもっと怖い…


開けたが最後、ビッグバンを引き起こしこの宇宙を対消滅させてしまいそうな気がするが…

どんどん動きは激しくなっている、もう振動で勝手に机の上を動き回る始末だ…


意を決して箱を掴む。




・・・・・・南無三ッ!!!!

『パカッ』







………

……?

これは…

相も変わらず動き続けてはいるが、取りあえずパンドラの箱ではなかったらしい。

中には真球状のチョコのような物が入っている。

動き方も相まってそれはさながら生き物の卵のようにも見えた。


匂いを嗅いでみる。

…無臭だ、チョコの甘い香りも焦げた匂いもしない。

手にとってみよう…

なんだかぶにぶにしているような気もする…

もう…食べるしかないのか…

『もぐ…』





……!!!!!!!!


苦い!!それに辛い!!何だこれは!?

少し甘味を感じたような気もするが、それ以上にえぐ味と辛味が強すぎる!!
まるで100キロ平方mの塩の海の中から一粒の砂糖を探せと言わんばかりの味の暴力!!!
肉体が脅威を察知したのか口内の唾液の分泌が激しくなる!
同時に頭痛、焼け付くような喉の痛みが併発する…

しかも胃の中でさっきの「何か」が跳ね回っている…気分が悪くなってきた…

どうやって作ったのかは不明だが、光には普通の料理を覚えてもらった方がいいかも知れない、いやそうするべきだ。


このままではいられない、すぐに他のチョコを食べて口直しを…

そうだ、村正さんのチョコがある、早速これを…

こちらも非常にこじんまりしている。
何ともあの人達らしい贈り物だ。

包装をとって箱を開けると四角い生チョコレートが三つ入っていた。

味に関してはいたって普通だが、今はこの普通が嬉しい…


そういえばあの二人とはあまりゆっくり話をした事がなかった、今度誘ってどこかに行くのもいいかも知れない。


最後に蕎麦屋の娘さんから貰ったチョコを食べよう。

箱を開ける。


……やかんだ、やかんが入っている。

いや、とてつもなく精巧なやかんの形をしたチョコレートだ。

しかも中身はちゃんと空洞になっており持ち手まで付いている凝り様…

あの娘さん細工師になれるんじゃないか?

一緒に入っていたカードに何か書かれている。


「温めた牛乳に溶かすと美味しいですよ。」

現在進行形で胃が疲れているのでありがたい、この通りにいただくとしよう。










これで貰ったチョコは一通り食べれた。
残ったものは後日食べればいいだろう。

個性的なものが多く非常に満足できた、若干凄い物もあったが。

しかし…


これだけ貰ってもやっぱり心が晴れないのは、彼女から貰えていないからだろう。

…家にいるだろうか、少し様子でも見に

『ピンポーン』

? 誰だろうこんな時間に。










『ガラッ』

…行く手間が省けた。




一条「あ…か、帰ってたのか。」

そっちこそ。こんな時間にどうした?

一条「え?あぁえっと…な、何してんのかな~って思って…」

チョコ食べてた。

一条「そっか、今日あの日だもんな…貰えたんだ、よかったな。」

いくつかは貰えたさ。

一条「…えっと、その…も、もう一つぐらいいらないか?」

え?


一条「その…これ…」





一条はもじもじしながら

一つの包みをこちらに差し出した。



---まさか、用意してくれてたのか。