名前:綾弥一条

名前を間違えられた回数41回

悪くない

茶屋街に来た。

その名の通り老舗の茶屋や和菓子屋が並ぶこの地域には今日も大勢の人々が訪れている。

ここも一面バレンタインムードだ、ありとあらゆる店がバレンタインメニューの様なものを出している。


ここにいて知り合いに会えるだろうか。

とりあえずしばらくうろついて…

?「あれー?○○じゃん!」

この声は…



茶々丸「やぁ少年。こんな楽しい日にお一人でどうしたね?」



光「息災な様で何よりよ、○○。」

こんな所でこの二人と会うとは

というか光はともかくとして堀越公方ともあろうお方が変装もせずに何をしてるんだ…。

茶々丸「カステラ食いに来てたらたまたま○○見つけたからさー。」

光「今日は実に運がいいらしい。」


たまたまって…

ああ…見られてる見られてる…そりゃそうだ、六波羅の実力者がこんな町中にいれば当然注目の的だろう。



茶々丸「チッ…何だてめぇら見せもんじゃねーぞ!!散れ散れ!!

おーい!ちょっと人払いしてくれー!」



『ヒュー…ガシャン!!

『ヒュー…ガシャン!!

茶々丸が言うやいなや上空から数機の竜騎兵が降下してくる…

町の人々の顔色が一気に変わるーーー


「む、武者だ!」
「六波羅の武者だ!逃げろ!」
「殺されるぞ!」
「早く店閉めろ!」


突如として飛来した大和支配の象徴である竜騎兵に町中は大混乱に陥っている。
流石にやりすぎでは…

茶々丸「いいよ別に誰も殺さねーし。」

光「何でもいいから早く済ませろ、騒がしくてかなわん。」


ある武者は太刀を、またある武者は主武装である長銃を手に町民達を通りの外へと追いやっていく…

通りを行き交っていた人々はやがてその姿を消した。


竜騎兵《閣下、もう付近に他の人間は見当たりませぬが。》

茶々丸「ん、ご苦労さん。あてと御姫はダチ公と少し話があるから引き続き上で張っててくれよ。」

竜騎兵《御意に。》


竜騎兵達は次々と合当理を噴かして飛び立っていく。

茶々丸「はぁーやっと静かになった、これでゆっくり話せるな。」

光「うむ、茶々丸の部下は有能な者が多いな、後で礼を言っておくとしよう。」

些か乱暴なやり方だったが…まぁいいか、過ぎた事を言っていても仕方がない。
…民衆の六波羅に対する印象はまた悪くなった気もするが。


茶々丸「いやーでも本当に丁度よかったよ、まさかここで会えるなんてな。」

光「もともとそっちに行くつもりだったのだがな。」

と言うと?

茶々丸「やだな~色男!今日が何の日かぐらいわかってんだろ?バレンタインだよバレンタイン!」

ほーん。

茶々丸「ほーんて何だよほーんて!?こんな美少女二人が健気にも君にお菓子を渡しに行こうとしてたんですよ!?」

光「○○…迷惑だったか…?」

とんでもない、光が自分のためにわざわざ贈り物を持って来てくれてとても嬉しく思う。

光「そうか!ならば重畳!!それでこそ光が自ら作った甲斐があったと言うもの。」

茶々丸「あれ?何かあてと扱いが違う…」


だけど二人は料理をするイメージなど無かったから意外だ。
少しは女の子らしいところがあって安心した。

茶々丸「何言ってんのさ、手作りなのは御姫だけだよ。あてはこれさ。」

そう言って茶々丸は長方形の箱をこちらに差し出した。
・・・ってカステラじゃないか。

茶々丸「へへーただのカステラじゃないよ?この日の為に文命堂に無理言って作ってもらった特製のチョコカステラだよ!!幻のカステラなんだからな!」

そんな恩義があるにも関わらずその店がある茶屋街を一時的にシャッター街にしちゃったのか…

茶々丸「だいじょぶだいじょぶ!店主にはよろしく言っといてあるから、「色々と」ね。」

…このカステラが文命堂の従業員達の涙で出来ている事は理解した。
それで光の方は?

光「う、うむ…これなのだが…」

光は照れくさそうに小さい箱を差し出してきた、掌に丁度乗るぐらいの大きさだ。



光「その…お前の事を想って作ってみた、気に入ってくれるといいのだが…」

今の光は歳相応の女の子に見える、とても可愛らしい。これは期待出来るかも知れな…






…?

…!?

おかしい。

チョコが入った箱と言うものは普通受け取っただけで心が温まる物だと思うのだが…


受け取って気付いた…

何やら箱の中から「妙な音」が聞こえる…一体これは何が入っているんだ…?


茶々丸「さーチョコも渡し終えた事だし、あてらも帰りますか御姫。」

光「うむ、これ以上ここの人間に迷惑を掛けるのもな、帰るとするか。」

あの…光さん、これは一体…

茶々丸「じゃー○○、あてらはそろそろ帰るからな。お返し楽しみにしてんぞー!
お前らー!撤収撤収ー!!」

光「ではな○○、いずれまた…な。」






二人はそう言って行ってしまった…
…どうしたものか、六波羅が去った事で通りは少しずつ人気が戻ってきた、閉まった店も再開店したようだ。



とりあえずカステラと小宇宙的なものを感じる「何か」を抱えながら茶屋街を後にすることにした。

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