女性「………。」
芸か何かだろうか…すらりと伸びた長身が見事な女性が巨大な弦楽器を弾いている。
糸目…と言うのだろうか、目を閉じている。美しい、女性だった。少なくともこの数年で見た女性の中で一番と言えるほどの…
しかし…その女性に対して最初に浮かんだ言葉は外見に対する称賛ではなかった。
異質。
多数の人間がいるこの場所で誰一人として彼女に気付いていないように見える。あれだけ目立つのにも関わらず…まるでそこだけ別の世界のように。
当の彼女はそんな事はお構い無しにゆったりと楽器を弾き続けている…
自分が最初の見物人になり遠くから眺めていたその時ーーー
『ピタッーーー』
女性が演奏を止める。そして…

女性「くす…」
こちらに微笑みかける。
…我に帰る、見とれてしまっていた。
妙に気恥ずかしくなったので小さく会釈をし、その場を後にする。
早く家を探さなければ…
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