おやおや、君が来るのは珍しいね…この負けんグミ(コーラ味)をあげようじゃないか!…いらない?美味しいのに…
ふむ、両親の馴れ初めを聞きたいか…あいわかった、話してあげよう
あれはそうだな…深海棲艦との戦いが終わり、おのおのが自らの仕事に就き始めた頃だったな…政略結婚というものは知っているかね?君の両親もいわゆるその政略結婚という奴でね…新たな道を踏み出したはいいが、君の祖父が経営する会社が深刻な経営難に陥ったのだよ
もちろん助けようとはしていたのだがね…軍属の際の恩給などではとてもとても…まさしく桁が違う額が必要になるなんてね…まさにお手上げ状態だよ
復興は進んでいるとはいえ戦後…銀行もなかなか融資はしてくれず、最早倒産は確実かと思われたのだが…その時に手を差し伸べたのが、なにを隠そう君の祖父の会社だったのだよ
そして助ける際に提示した条件が、いわゆる君の両親の政略結婚だったという訳だ
方や歴史は長いとは言え、吹けば飛びそうな倒産寸前の会社…方や、余裕たっぷりの大企業…最早その条件を飲むしかなかったと言えるな…そうやって…
君のお母さんは、お父さんを手に入れたんだよ
それからはとにかく手が早かったな…融資には手続きが必要と皆を言いくるめてイギリスに飛び、挨拶周りと称してハネムーン…皆が気づいて英国に乗り込んでも情報統制は完璧…やっとの思いで足取りを掴んだときには既に1週間が経過していたよ…イギリスに乗り込んでからも偽情報を掴まされたり、盗聴した通信が偽電だったりでイギリス中を飛び回ったものだ…M16が協力していたという噂があったが…あながち嘘だと言えないくらいの鮮やかさだったよ……まったく、ジェームズ・ボンドでも相手にしている気分だったね!
まぁ、我々がホテルに乗り込んだ際には、君のお父さんはお母さんに搾り取られてたっぷりとボンドを注ぎ込んでいた訳だが!HAHAHA!
そして誕生日から逆算すると、そのハネムーンの際に授かったんじゃないかと思うのが君だよ、提督とウォースパイトの子よ
10年後のウォースパイト