おや、また遊びに来たのかね?ふむ、君の両親の話を聞きに…か……ふふ、もちろん歓迎しよう!あぁ、そこに駄菓子があるから好きに食べていいぞ

さて、なにを話そうか…そうだな、少し前に深海棲艦という化け物との戦いがあったことは歴史の授業で習ったかな?うむ、その通り!君の両親はその英雄でな?

深海棲艦との戦いが終わり、連中が姿を消しても暫くは警戒を続けていたのだが、我々も次第に警戒を緩めて行き…鎮守府には最低限の艦娘と提督がいれば、他の艦娘は自由にして良いというお達しが出たのだ
もちろん、なにかあったときにはすぐに駆けつけることができるように付近に住むという条件付きだがね?

学校に通うもの、働きに出るもの、休暇を申請しバカンスに行く者…様々だった…そして君のお母さんは、鎮守府に残った者だった

ときに、君のお父さんはとてもモテたというのは知っているかな?左様、君のお母さんはもちろんだが、君が通う学校の国語の先生や体育の先生、英語とロシア語の先生も君のお父さんを好いていたんだ
君が家族でよく外食に行く小料理屋の女将やフレンチやイタリアンレストランのシェフもだぞ?

うむ、後は君の想像している通り…君のお父さんを巡る争いが勃発したのだ。まぁ…実際に戦った訳ではないが…うむ、私もああいうのは二度と御免被る…いやはや、くわばらくわばら

……まぁ私としても同郷の彼女を応援することはやぶさかではなかったので、一計を案じさせて貰ったのだよ
なぁに、大したことはしていないとも!君のお母さんに「提督の料理に混ぜて飲ませるんだぞ」と言い含めてちょっとした薬を手渡しただけだ

…どういう薬か…だって?ちょっと効き目が強い媚薬と精力剤の類だよ
まぁ彼女は用法用量をよく読まずに、数匙でいいところを一瓶まるまる使ってしまったみたいだったが

うむ、あの夜のことは我々の中では今でも語り草だぞ?獣のような雄の咆哮と、「もうだめ」「許して」「死んじゃう」という雌の嬌声が一晩中鎮守府に響き渡っていた
彼のことは草食系かと思っていたが、その内には獰猛な肉食獣を飼っていたということかな?彼女はそうとは知らずにその檻の鍵を開け、まんまと食べられてしまったという訳だ

そうして出来た子が君だよ、提督とビスマルクの子よ
10年後のビスマルク