○(個人的百物語、饗宴)
あ、そういや穹、お前百物語やるんだって?頑張ってな。あと…わりぃことは言わねぇ、そこの茂み(てか林)でヤるのは…止めといた方がいい。なんか知らんが…すげぇ…不吉な気配がするんだ…。家帰ってからにしといたほうがいいぞ。
…忠告はしたからな。
(…行ったか…。しかしなんだこの尋常じゃない悪寒…)
○(個人的百物語、饗宴1)
エタフォと別れ、林の中を進んで行く2人。少し進んで行くと、何やらちょうちんの光が目についた。まるで2人の周りをぐるぐる回るかのように…。
ふと、前を見ると人が立っていた。さっきまでは居なかったはずなのに、いつの間に現れたその「人」は…明らかに普通の人とは違っていた。
まるで血に染まったかのような紅く、長い髪。
服装は、祭り時なのか着物を着ている。
そこから見える細くしなやかな体つきから、どうやら女性のようだった。
右手にはちょうちんを持っており、中の火がゆらゆらゆれているのがわかる。
顔に関しては…狐のお面をつけており、表情がよめない。
だが2人はその姿に見覚えがあった。
それは、先ほど別れたうちの1人、波音リツ。彼女の姿はまさしくそれだったのだ…。
○(個人的百物語、饗宴2)
その女性はこちらの存在に気づいたのか、ちょうちんを穹達に向け、近づいてきた。
リツに似た『人』「…あら?あなた達、こんな林の中で一体なにをしてるの?(穹の持ってる大人のオモチャを見て)…あぁ、そういうこと…ふふふ…若い人はお盛んなこと…。
でも…今日は止めといた方がいいかもしれないわ…なぜかって?
…もしかしてあなた達…知らなかったりする?この林はね…百鬼夜行、幽霊や妖怪の通り道なのよ…。
そもそも昔…ここはとある京(みやこ)の中心に位置する所でね…この夏から秋にかけての時期は…夜になると…妖怪達が闊歩する姿が見られたと言うわ…。
そうね…あなた達暇でしょう?なら…少し私のお話を聞いていって頂戴…」
○(個人的百物語、饗宴3)
昔…この土地がまだ京だったころ…この時期の夜に始まる百鬼夜行の祭りを…止めてみせようと言う侍や武芸者、高名な坊さんが集まった時があったの…。
…なぜ百鬼夜行を止めようとしたのか?…その祭りを見てしまった人間を…食らうからよ、妖怪達がね。
毎年そのようなことがあって京に住む人間達は年々少なくなっていって…「このままでは京に住む人間はみんな食われてしまう」と考えたその土地の殿様が…百鬼夜行を止めようと各地の猛者を集めたわけよ…。
そして百鬼夜行の初日…。殿様の率いる大軍が百鬼夜行の群れへ攻撃を仕掛けた。軍の数はざっと見積もって5、6万…対する百鬼夜行の群れはせいぜい2、3千…さて、ここで問題。
この戦い…勝ったのは…どっちだと思う?
○エタフォ式百物語-2