それでね、ボクとアミちゃんは、白い体操用のマットで遊んでたんだ。
それなりに広い器具庫はね、入り口の扉を締め切ると、中に光が入ってこないから、真っ暗になっちゃうんだ。ボクは怖くて疼くまってたら、アミちゃんに無理やりマットのほうに引きずり込まれて、中に包まって怖い話を聞かされたんだ……。
そしたらね、そのうち、だんだん肌寒くなってきて、それでボクは凄く怖くなって、マットから出ようとしたんだ。アミちゃんは面白がって、ボクの手を捕まえて上のほうに持ち上げたんだ。そしたら……。
ボクらの手に、誰かの手が重なってきたんだ……。すごく細くて、柔かくて……氷みたいに冷たい手が。
ボクとアミちゃんは驚いて、悲鳴を上げて手を引っ込めたんだ。そして、アミちゃんがその手の犯人を見ようとして、魔法で灯りを点けたんだ。そしたら……。
誰も、近くにいなかったんだ。他のみんなは器具庫の反対側で遊んでて、ボクらの悲鳴にびっくりしてるみたいだった。アミちゃんはみんなの中の誰かが犯人だってまくし立ててたけど、きっと、みんなの中に犯人はいないと思う。だって……。
近づいてくるような足音も、離れるような足音も、ボクには聞こえなかったから……。
え、えっと、ボクの話は、これでおしまいっ!! うぅ、嫌なこと思い出しちゃったよぉ……。
百物語ファークリン君2