>不思議な少女8
ナイフを探しに協力している、すずかの元に少女が現れました
『ご機嫌よう。月村先輩』
少女は薄ら笑みを浮かべている
『ナイフ探し、御協力感謝いたします』
少女は深々と頭を下げる
>不思議な少女9
『しかし』
顔を上げ、すずかに顔を近づける少女
『月村先輩が動いてくれるとは驚きました』
顔を離しつつ首を傾げる少女
『吸血鬼である月村先輩が怪異を喰らうナイフを探すなんて』
『意外です』
裾で口元を隠しつつクスクス笑う少女
『もしかして、命の危険感じてます?』
>不思議な少女10
『失礼、有り得ない話をしましたね』
軽く頭を下げながら謝罪する少女
『でも意外なのは本当ですよ?
ほら、月村先輩の事、バレると大変じゃないですか』
少女はおどけるような仕草で、すずかに語りかける
『大好きな〇〇先輩にバレたら嫌われちゃうかもですし』
>不思議な少女11
『まぁ、吸血鬼なんて珍しくもないですから』
『〇〇先輩なら普通に受け入れちゃいますよね?』
『だって貴女は吸血鬼らしくない吸血鬼ですから』
少女は、ゆっくりと踊るように立ち振る舞いながら言葉を紡ぐ
『ね?多少の魔眼と吸血鬼らしい血を吸うスキルと多少の運動能力を持つ』
『真の吸血鬼には足下にも及ばない』
『夜の一族さん?』
少女は嘲笑う
まるで、羽虫を見るように
゛月村すずか゛を嘲笑う
言いたいことを言いたいだけ言い
少女は言葉を紡いで去っていった
残ったのはイヤな静寂と少女への不信感だった
・すず「…あの子がはやてちゃんが言っていた子…?わたし達の事を知ってるのは驚いたけど…どうして、協力してる相手にあんな事を…どちらにしても、完全に信用はできないよね…ナイフが見つかっても素直に渡しちゃっていいのかな…」
>不思議な少女12
少女が、すずかと話している同時刻
アリサ・バニングスは、とある事を調べていた
少女の正体である
少女が後輩だと言うなれば学校に多少なりとも情報があると思い調べていた
が、可笑しな事が分かる
少女についての情報は無かった
先生に聞いても後輩に聞いても
少女の記録が出てこない
>不思議な少女13
アリサ・バニングスは疑問点が多い少女に不信感を募らせる
よくよく考えれば、少女は何時から〇〇と知り合ったか分からない
他校生という線もあったが
はやてに聞いた話では自分達の学校の制服を着ていたから、その線は低い
>不思議な少女14
アリサ・バニングスは考える
少女の正体を
少女の目的を
そして、思い当たる
情報交換の時に〇〇の兄の知り合いのアロハシャツの男の事を
少女が叔父だと語る男の事を
学校から飛び出したアリサ・バニングスは走る
〇〇の兄に会いに
真実を知るために
アリサ・バニングスは知らない
同時刻…月村すずかと会っているハズの少女が
不気味な笑みを浮かべながら自分を眺めて居たことを
>不思議な少女15
アリサ・バニングスが目指す〇〇の兄は大変焦っていた
弟にナイフの事を聞かされたからだ
彼はナイフの事を聞いていち早く行動を始めていた
真っ先にアロハシャツの男に電話を掛けた
無駄だった
忘れていた
アロハシャツの男の機械音痴のレベルを
電話は繋がらなかった
十中八九、アロハシャツの男が携帯電話を破損させたのだろう
それなりに長い付き合いの〇〇の兄は、すぐに察した
彼が焦っていたのには理由がある
1つ目はナイフの危険性を知っていたから
2つ目は弟達の安全の確保の為
3つ目は……
>不思議な少女16
3つ目は…天涯孤独なアロハシャツの男の姪を名乗る少女の存在を危惧してだ
〇〇の兄は思い当たっていた
少女の正体に
少女の目的に
そうだ…
この事を弟に伝えなければ!
弟の携帯電話の番号にかける直前
―ガツンッ―
鈍い音が彼の頭から響く気を失う彼の眼には
不気味に笑う少女の姿があった
そして少女は呟く
『駄目ですよ』
『ネタバラシは』
『反則ですよ』
その数分後
アリサ・バニングスが〇〇の兄を眼にしたのは
頭から血を流し気を失い
血塗れの携帯のメール画面に最後の力を振り絞って記したと思われる
《少女》の文字だった
>不思議な少女17
アリサ・バニングスの通報で病院に搬送された〇〇の兄
アリサ・バニングスは考えた
《少女》の意味を
後に、月村すずかの話を聞き
そして、戦慄する
思い合った《少女》の意味は《少女》に殴られたというメッセージ
《少女》に気をつけろというメッセージ
だが月村すずかの話を聞けば…
有り得ないのだ
月村すずかと話を終え少女が去った時間と場所から考えると《少女》は別の人物になるからだ
何故なら、どう足掻いても少女が《少女》だとすれば
1秒足らずで車で片道30分の位置に瞬間移動したことになる
八神はやて曰わく魔力の一片も無い少女がだ
>不思議な少女18
アリサ・バニングスは気付かない
否、気付けない
屋根の上から自分を眺める少女の存在を
目立つハズの場所なのに誰一人認識出来ない
不気味に嘲笑う少女の存在に
…さぁ、物語を続けましょう…
耳元に突然聞こえた声に驚き後ろを振り返ったが
そこには誰も居ない
誰一人にも認識されなかった少女は
いつの間にか去っていた
・アリ「ありえない…なんなのその子…少なくとも普通の人間じゃないし、味方と呼ぶには怪し過ぎる…○○のお兄さんを狙ったって事は彼女にとって知られたくない何を掴んでいたって事よね…でも…分からない、情報が足りないわ…いったい何が目的なの…?」
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