ふと、幻想蓄音円盤-レコード-が口を噤んでしまった。
筆を走らせる手を止め、耳を澄ませてみると、なにも聴こえなかった。

静かな時間だ。
まるで、庭先でそっと花が開く音すら聴こえるよう。

……あの人は、いつ帰ってくるのだろうか?


空洞の時