(普段も観光客で溢れかえる神社は、どこに足を踏み出そうか躊躇するほどに人で満ちていた)


相変わらずすげぇ人だな。
(直さんは少し眉間に皺を寄せた)


この人ごみだからなァ、多分1回見失ったら帰路に着くまで合流できねえだろうな。
んな不安そうな顔すんなよ一生の別れでもあるめぇし。
おら、手ェ貸せ。

(少し強引に手をとられると、しっかりと握りしめられた)



もしはぐれたとしても、どこにいようと俺がお前を見つけてやんよ。



(しっかりと直さんのに手を掴まれたまま人に流されるようにして拝殿へ向かう)
(……ようやく賽銭箱の近くへ着いた)
(五円玉を投げつけるようにして入れ、願いを祈る)
(隣にいる直さんを横目で見れば、熱心に手を合わせていた)


(祈り終わると、先ほどと同じように手をとられ混雑から逃れる)


(ある程度空いた場所に出ると、直さんがこちらを振り向いた)

よし、ちゃんといるな。
ったー、それにしてもすげえ人だったな。押しつぶされるかと思った。



(軽くウンザリしたように、でも明るくケラケラと彼は笑った)
(…さっき見た直さんの真剣な様子が忘れられない)

(先輩は何を願ったんですか?)



お前が帰り道転びませんようにって。
……なんてな、内緒だよ。
(繋いでない方の手の人差し指を唇にあて)
願い事は言っちまったらダメなんだと。
もし叶ったらお前に教えてやるよ。


名前:空神様
51歳

GOD

お気に入り登録登録済み一覧

セーブデータ
新規登録・ログイン・マイページはこちら