(コンコンとノックをすると入りなさいと返事があった)



鍵?
ふむ懲罰房のやつか。
あれはちょっと前に菅野君に渡したぞ。


少し時間があるかね?話したいことがあったのだよ。

君、私の娘になる気はないか。


(!? 言われたことの意味が頭の中に入ってこない)


すまない、唐突すぎたな。
なにも本当に親子の縁を契ろうという訳ではない。
あくまで不安定な君の身分や地位を確立するための手段に過ぎない。
もちろん、向こうに帰ったらこのことは綺麗さっぱり忘れてなさい。


(不安定?)


ああ、そうだ。
私や菅野大尉、スキピオ氏は軍人だ。だがしかし君はそうではない。
軍属でもなければ、戦闘の経験もない。
ただのか弱い女性だ。

それだけじゃない。
君の所持品には未来の技術が応用されている。
その技術の全てを完全に理解していなくとも君はそれをどうやって使うかの知識を有している。


グ=ビンネンは実に正しい商業国家だ。
彼らは物よりも知識や技術に重きを置く。


形あるものはいつか消えてなくなる。命でさえも。
だが、知識は違う。
人から人に伝わることで時代も場所も越えてそこにあり続ける。


だからこそ君は危ないのだ。
鴨がネギを背負ってきたと言えば分りやすいかね?



幸い私には客員提督という身分がある。
その子女ともなれば相応の対応をせねばならん。ある程度の安全は確保されるだろう。



……いきなり言われて即答できるものでもなかろう。
君の答えが決まったら教えて欲しい。




私の話はこれで終わりだ。
長々と引きとめてしまってすまなかったね。もう行きなさい。


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名前:空神様
46歳

GOD

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