(飛龍に帰ってきてから大尉の姿がどこにも見当たらない)
(随分と艦内を探し回った)
(もう一回、飛行甲板へ行こう。それでも彼が居なかったら、提督に相談しよう)
(そう考えながらラッタルを上る)
(……いた)
ああ、お前か。
ちょっと飲んでたんだ。
(ウィスキーの小瓶を軽く振って見せた)
お前、俺の所属知ってるだろ。
ん、そうそう343空、剣部隊な。
12月25日はその開隊日なんだよ。
その、なんとなく、なんかしてぇなって。
(大尉は海面を見る)
(同じように水面をみつめると、街で大尉が買っていた花束が波に揺れていた)
仲間に手向けたんだよ。
アイツらなら酒の方がいいかもしれんが、まあそれは俺に譲ってもらおう。
実と言うとだな。
(大尉は淡々と話し始めた)
こっちに飛ばされて「日本」の存在が無いと知った時、俺は何を心の拠り所にして戦えばいいのか分からなくなった。
なんの為に戦うのか、ずっと探していた。
今日、お前と街に出て感じたんだ。
例えそこが異世界であったとしても人の営みはどこでも変わらないのだと。
そう思ったら今までうだうだ考えてたことが随分くだらなく感じた。
俺は軍人だ、戦える人間が戦わなくてどうする。
戦うにはそれだけで十分すぎるンだよな。
(菅野は天を見上げ、大きく息を吐いてから貴女の方へ身体ごと向きなおす)
俺は「この世界の未来」を、お前の未来を守るよ。
(ゆっくりと自らに言い聞かせるかのごとく、彼はそう言ったのであった)
名前:空神様
46歳
GOD
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