(金木犀の香りが鼻腔をくすぐって、雨の中思わず足を止めた。昨日まで気付かなかったけれど、小さなオレンジの花が咲き誇っていた。もう季節はすっかり秋になったんだな、と改めて実感する。

──○○は金木犀が好きだった。金木犀の香りが。この小さなオレンジの花が。

僕は金木犀の開花に喜ぶ○○を見るのが好きだった。秋の訪れが待ち遠しくなるくらいに。

二人一緒に、秋を迎える。それはずっと、これからも続いていくんだとそう思っていた。───けど、今僕の隣に○○の姿はない。


この雨も、金木犀にも、全部に○○との思い出が詰まってる。なくしたくない大切な思い出に、なくしたくない大切な人。そんなことは充分分かってる。それでも僕は、○○に声をかけるというとても簡単な後一歩を踏み出せないでいる────)

名前:佐藤寿也+坂口光
通算本塁打144本
話した言葉:金木犀の香り

寿くんかわいい

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