彼の結婚報道を見たとき、それなりにショックを受けている自分がいることに驚いた。とっくに手の届かない存在になっていたというのに、心のどこかでまだ期待していたのかもしれない。またあの日に戻れることを。




───彼との思い出を、全て捨ててしまおうかと考えたこともあった。結局それは出来なくて、自分の気持ちを封印するみたいに箱の中に全部詰め込んだ。

名前や顔をテレビで見たり聞いたりするのも辛い時期もあったけれど、彼がずっと憧れ追いかけていた吾郎くんとバッテリーを組んだワールドシリーズは、現地まで見に行ってしまった。

ずっと色々なことに苦しんでいた彼がすごく大きくなって、最高の舞台で優勝を掴み取った。そのときの寿くんの顔を見たとき、自分の中で感じていたわだかまりが全てなくなった。


けど、寿くんが好きだった気持ちまでは消えてくれなかったらしい。



画面の中の彼は幸せそうに微笑んでいる。
胸は痛む、けれど───寿くんはもう充分すぎるくらい苦しんだのだから、どうかこれからは、ただただ幸せな日々を送って欲しい───そう思う気持ちは本当だった。

貴方の幸せが私の幸せだと、もっと早くにそう思えたら違う未来があっただろうか。

……今さらそんなことを考えても、仕方がないか。






「ずっと、貴方のことが好きでした」




ただの自己満足だったけれど、そう呟いてみると心なしかスッキリしていた。十数年、心に閉じ込めていた想いをようやく口に出せたから。届くことはないけれど、それでいい。



長い長い私の片想いも、これで終わりだ。





───どうか寿くんが、この先もずっと笑顔でいられますように







名前:佐藤寿也+坂口光
通算本塁打144本
話した言葉:Your happiness is my happiness

寿くんかわいい

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