名前:後藤藤四郎&薬研藤四郎

大将を守った回数23回

つ誉

昨日、俺は貞坊と一緒に畑仕事をしていたんだ。…って、当番を決めた主は知っているか。
何とか夕餉の時間までに終わり、俺と貞坊は腹へったーと話していた。

「今日の夕餉は何だろうなー」
「今日は第二部隊が出陣していたからなぁ…そいつらの好物だと思うぜ」
「えっと…なら今日はカレーだな!」

と、夕餉の話で盛り上がっていた。
そんな話をしていると、お腹がすいてくるわけで。

「あー我慢できん!光坊に聞きに行ってくる!ついでにつまみ食いしてくるな!」
「おー行ってらー」

…と貞坊に見送られながら俺は厨まで走って行ったわけだ。途中、長谷部に「廊下は走るな!」と注意を受けたが当然無視。
厨に近づくと、いい匂いがしてきてな…あの時は空腹で死にそうだったぜ。

「鶴さん、そんなに急いでどうしたの?」

よく見ると光坊は味噌汁を作っている最中だった。

「お、味噌汁か…具はなんだい?」
「恐怖の味噌汁だよ」

恐怖の…味噌汁…!?
普通なら、それは何の味噌汁なんだ?と疑問を持つところだろうが、恐怖の味噌汁にテンション上がらない俺など俺じゃないだろう?

「恐怖の味噌汁か…それは楽しみだ!期待してるぞ、光坊!」

その恐怖の味噌汁とやらにはどんな驚きが待ち受けてるのか…そればかり考えていて、つまみ食いする気で来た事など忘れていた。
ルンルン気分で厨を飛び出し、夕餉の時間まで庭駆け回っていたな。途中で今剣も来て、一緒に鬼ごっこをしたりしてな。



こうして時間は過ぎ、待ちに待った夕餉の時間。
俺はわくわくしながら味噌汁を見た。麩の味噌汁だった。これがどうして恐怖の味噌汁なんだ?と疑問に思った俺は、光坊の言った言葉を思い出してみた。


「恐怖の味噌汁だよ」
「きょうふのみそしるだよ」
「きょう、ふのみそしるだよ」
「今日、麩の味噌汁だよ」


「麩の味噌汁かよッッ!!」

謎が解けた俺は、思わずこう叫んでしまった。

怖い話3