綿流し祭のメインイベント、奉納演舞が始まった。
和太鼓や笛の音が響き、舞台の真ん中では梨花ちゃんが鍬を持って舞う…。
梨花ちゃんの細い腕では、あの鍬を持って動くのはしんどいだろうに…よっぽど練習したんだろうな…。
妖しくも優雅な…しかしどこか活き活きとした力強い舞…。
気のせいか、梨花ちゃんの顔には笑みすら見える…。
羽入「今日の演舞は…今までの演舞とは違うのですよ。」
羽入ちゃんが俺に耳打ちする。俺が違和感を持っている事に気付いたのだろうか…。
それにしても…羽入ちゃんもいつになく輝いた目をしている…。
今までの演舞がどんなものだったのかは分からない…。
でもきっと、今日の演舞は今までにないぐらい、心から楽しんでいるのだろう…。
2人の少女の目が、それを物語っていた…。
そして演舞は幕を閉じた…。