翌日 、Aさんが事務所に来るやいなや、早速ビデオレター鑑賞会です。
Aさんをテレビの正面に座らせ、ビデオをスタート。
テレビの中で男が踊り始めます。


またも笑みを浮かべるスタッフ達をしり目に、プロデューサーはAさんに声をかけます。
「なかなか面白いビデオだろう?振り付けなんかも完璧だ。よっぽど君のファンみたいだね。」





しかし、Aさんは返事をしません。
不思議に思ったプロデューサーがAさんの顔を覗くと…





なんと、Aさんはボロボロと大粒の涙を流していたのです。





これには全員が驚きました。
スタッフがハンカチを取ってきて、Aさんに手渡します。
しかし、Aさんはそれを全く受け取ろうとせず、ずっと両手を口に押さえつけたまま。





困ったプロデューサーは、ついにAさんに尋ねました。
「一体どうしたんだ…?まさか感動したなんてことはないよな…?」





「ち、違います…!」
いつしかむせび泣きになっているAさんが、必死に声を出して答えました。





そして…Aさんはテレビを指差 し、震えた声で、こう続けました…。





この部屋…私の部屋です…。







ビデオレター-3