…谷河内のさらに奥に無人の採石場があるんだ…。
そこは昔、工場長が一家心中した場所でね…。『自殺した社長の無念の霊が彷徨ってる』って噂なんだよ。


…で6、7年くらい前の事かな。
そういうのってさ、子供達からしたら興味津々じゃない?
だからおじさんは何人か友達を連れて遊びに行ったんだ。


採石場にたまたま落ちてた缶で缶蹴りしようって事になったんだけど…。
…途中から変な臭いを感じてね…。
何て言えばいいのかな…卵が腐ったような臭い…って言えばいいかな…。
まあそのうち気にならなくなったから、そのまま缶蹴りを続けてたんだよ。


…でしばらくした時、急にどこかから関係者…みたいなおっさんが現れて
「この餓鬼ども!!ここは遊ぶ場所じゃねぇんね!!」
って怒鳴りながらすごい剣幕で追いかけてきたんだ!


「そこまでだ」
聞いたことのある声、寺生まれで霊感の強いTさんだ。
恐怖に引きつった私達の前に来ると、両手を構えて「破ぁ!!」と叫ぶ、すると青白い光弾が飛びだし、関係者っぽいおっさんを吹き飛ばした!


「好奇心は猫をも殺す…。忌みのある場所には近寄らないことだ…。」
そう呟いて片手でタバコに火をつけるTさん。


寺生まれってスゲェ…その時初めてそう思ったよ。
寺生まれのTさん